佐賀市は、「脱炭素」と「経済成長」が両立する社会を創出するGX(グリーン・トランスフォーメーション)の実現に向けて、「佐賀市グリーン化推進戦略」を策定しました。清掃工場の排ガスから分離回収した二酸化炭素を藻類培養や農業に活用し、産業の育成をはかる二酸化炭素分離回収利活用事業(CCU事業)を核に、佐賀市に民間事業者の脱炭素化に関する投資を呼び込むことを目指します。
脱炭素社会を構築しつつ産業や生活を維持・発展させるGXに国や企業が着手する中、これまで取り組んできたバイオマス産業都市構想に基づくプロジェクトを持続可能な事業へ進化させようと策定しました。具体的には、佐賀市清掃工場由来の二酸化炭素や熱を資源として活用し、清掃工場周辺を脱炭素農業の拠点にする「グリーンアグリバレー計画」などを進めます。また省庁のグリーン化支援策などを活用しながら民間企業のグリーン化技術開発を支援し、企業間連携を進めて資源循環型の新しい産業を創出することを目指します。
坂井英隆市長は4月24日の記者会見で「世界的にGXについての機運が高まっている。佐賀市でも環境価値を経済価値に変えていきたい」とグリーン化推進への抱負を述べました。市はGX推進に向けて4月1日付で組織改編を行い、バイオマス産業推進課、施設機能向上推進室を統合し「GX推進課」を新設しました。
佐賀市と㈱誠和がGX推進へ連携協定締結、農業事業者誘致をはかる
佐賀市は、施設園芸設備メーカーの㈱誠和(栃木県)と「佐賀市グリーン化推進戦略に関する連携協定」を結びました。「脱炭素」と「経済成長」の両立を目指す同戦略に合致する農業の事業展開の推進に向けて、同社のノウハウやコネクションを活用し、佐賀市清掃工場周辺への農業事業者の誘致や、次世代農業を担う人材の育成などをはかります。
誠和は、施設園芸機材の製造販売を行っており、先端技術を活用して食料生産における省力化や生産性向上、高品質化、環境負荷の低減を図るスマート農業についても技術と経験を持っています。佐賀市とは、環境効果と経済効果を同時にシミュレーションできるソフトウエアを共同開発し、「令和6年度気候変動アクション環境大臣表彰」「日本DXイノベーション大賞2024最優秀賞」を受賞しました。また今年度、佐賀市でミニトマトの栽培を始める予定の㈱橋本農園の進出についても事業計画策定から携わっています。
協定では、佐賀市への農業事業者の誘致や次世代農業の展開、佐賀市グリーン化推進戦略の実施に向けた調査・研究などについて連携していくことにしています。3月24日に佐賀市役所で行われた協定締結式では、誠和の大出浩睦代表取締役が「橋本農園のように新たに農業をやりたい事業者を清掃工場周辺に誘致し、佐賀市の持続可能な地域づくりをサポートしていきたい」が抱負を述べました。坂井英隆市長は「農業は担い手不足が課題。誠和には人材育成のノウハウもあり、新規就農者とのマッチング戦略立案などにも進んでいければ」と期待を示しました。