血圧降下薬の可能性を秘めた新規化学物質を発見

 佐賀大学μABプロジェクトの川添准教授と出村准教授

 佐賀大学は11月17日、微細藻類の産業利用可能性を探る研究者グループ「佐賀大学μAB(マイクロエービー)プロジェクト」の研究者が、佐賀市内で採取された微細藻類ヘマトコッカスから血圧を下げる効果が期待できる新しい化学物質を発見し「サガンヘマテノン」と命名した、と発表しました。この物質ついては同大学と(一社)バイオサーキュラーエコノミー協議会が共同で特許を出願中で、今後、血圧降下薬への展開が期待されます。

 研究は、同プロジェクトの川添嘉徳・生物資源教育研究センター准教授と出村幹英・さが藻類産業共同研究講座准教授が中心になって行いました。ヘマトコッカスから抽出した成分について様々な試験を行う中で、血圧上昇に関係するアンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きを抑制する物質が存在することを発見、構造を分析して新規化学物質であることを明らかにしました。

ヘマトコッカスから抽出、「サガンヘマテノン」と命名

 ヘマトコッカスは、ストレスを受けると強い抗酸化作用をもつ色素アスタキサンチンを産生する微細藻類で、アスタキサンチンは化粧品やサプリメントなどに利用されています。一方、新規化学物質「サガンヘマテノン」は、アスタキサンチンを蓄積する前のヘマトコッカス細胞から抽出されています。

 研究にあたった川添准教授と出村准教授は「血圧降下作用を持つ微細藻類由来のサプリメントや医薬品はまだ販売されておらず、ヘマトコッカスを用いた新しい商品化が期待されます」と話しています。

 佐賀大学μABプロジェクトは、微細藻類バイオマスの利活用からの新産業創造を推進している佐賀市、バイオサーキュラーエコノミー協議会と連携して研究を続けています。

   「サガンヘマテノン」について発表する川添准教授(左)と出村准教授

図1.ヘマトコッカスの顕微鏡写真とサガンヘマテノンの構造

図2.サガンヘマテノンによるACEの抑制による血圧降下への期待

 

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